スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
愚かなる者への挽歌。@帝国劇場 『マリー・アントワネット』 感想。

24日過ぎてしまったら絶対書かない気がするので今書く(笑)


今月12日に帝劇で観て参りました 『マリー・アントワネット』 の感想です。
内容は辛口では無いんですが。 むしろブラッキーな感じ(爆)




誤解無いよう先に申し上げておくと、作品としては大満足でした。
超豪華キャストな皆様は揃いも揃って素晴らしいお芝居を見せてくれたし、
音楽も良いし、物語は確かに暗いけど、私はこーゆーの好きだし(笑)
心から素直な感想として、観に行って良かったなぁと思いましたよ。 
偶然通りがかったお店でチケット発見した縁に感謝。 ありがとう神サマ。


…………と、ひとしきり讃えた後で、ひとつだけ苦情。 と言うか、疑問。


観劇前、私が楽しみにしていた要素のいっこが、涼風さんの出演でした。
涼風さんのお芝居は、雪組全ツの予習に 『銀の狼』 を映像で見たくらいで
ナマで拝見したことは無かった。 だからとても、楽しみにしていた。
主役のマリー・アントワネットを演じるのが涼風さんなのだと知った時から。

とっても楽しみにしていた、……ん、だけど。


えーっと。


すんません。 この役、涼風さんが演る必要あったの?(素)


……ていうくらい、アントワネットはどーしようもない役だった気が。


このミュージカル、原作は故遠藤周作氏が書かれた小説なんですよね。
それをちょっと読んでみたいなと思った。 どこまで忠実に脚本化したのか。
公演のチラシか何かで、遠藤氏の奥様が作品に寄せた言葉を目にしたのですが
“あの混乱の中でも人間としてのやさしさを見失わなかった人々がいたこと”
……を、描きたかったそうなんですね遠藤氏は。 その、奥様の言葉によると。

私が捻くれてるせいなのか、どうもそういうお話には見えなかったんですよね。

やさしかったって、誰が?
人間としてのやさしさって、何が?


いつもの癖で、眩暈がしそうなほどに集中して気合入れて舞台観続けて、
観終わった私の胸に浮かび上がってきたのは、優しさでも暖かさでも無くて。


馬鹿だなあ、人間って。


……感想は、ただそれだけ、だったな。 正直言って。

そして、そういう 「愚かさ」 を描いた作品として、私はコレが大好き(爆)




しょっぱな、アントワネット役が涼風さんだったことに文句をつけた理由ですが。

だってどーしようもない馬鹿なんだもん。 アントワネットって。

1幕観ていてずーっと、腹が立っていたさ(笑) 彼女があんまりにも浅はかで。
下々の者のことも考えてくれと訴えるマルグリットには、頭からシャンパンを浴びせ
ルイ16世には我侭言いたい放題、その裏ではフェルゼンとの恋愛にかまける。
国民が飢えてよーが国庫が空っぽになろーが、頭の中は自分の恋愛のことでいっぱい。
フェルゼンが国民に目を向けるよう言っても 「下賎な平民なんか、どーでもいい」 。


早く革命起こっちまえ。 と、何度思ったか知れない(笑)

本当に。 正直、サッサと倒されてしまえば良いと思ったよ、こんな馬鹿女。
頭が悪いだけならまだしも、人間性も薄っぺらだし。 存在自体が迷惑(ばっさり)


……で、舞台はフランス革命ですから。 元ネタは歴史上の事実ですから。
当然、歴史の通りに話は進んでいく訳で、革命だって勿論起こります。
国家規模で迷惑な馬鹿女・アントワネットは見事に捕らえられて、万々歳。
まぁなんて気持ち良い展開でしょう、…って感じでも無いんですよ、これが(笑)

と言うのも、革命を起こした国民達も王妃に匹敵する大馬鹿だし(ばっさり)

人から言われたことを鵜呑みに信じ込み、流れに混じって泳いでいるだけ。
単なる付和雷同。 水槽をぐるぐる泳ぐメダカの群れ。 可哀想でも何でもない。
そこに信念なんてものは無いし。 自分の意思どころか、目すらも持ってない。
ただ単に皆で集まって、どこか一箇所に不満を全部ぶつけていたら楽だから。
だから、皆で、そうしてるだけ。 悪は悪として、その本質を知ろうともせず。
それは 「悪」 だから何をしてもいい。 自分達は被害者。 自分達こそは正義。

特に圧巻だったのは、国王一家がパリから逃亡するのに失敗した、その後です。
外の空気を吸いにいった侍女が、革命に盛り上がる市民たちに殺されるの。
で、市民達はその侍女(+他数名)の首を槍の先に突き刺したものを高く掲げて
「革命万歳」 「国王を殺せ」 歌うようにそう呟きながら、行進してくる。
観ていて、すんごい、感心しました。 その、あまりの 気色悪さ に。


アントワネットにしろ。 市民達にしろ。 出てくる人間、総じて愚か。

その中で異色だと思うのが、市民の娘マルグリットと修道女のアニエス。
人々の波で出来た流れにも、彼女達は流されない。 決して飲み込まれない。


マルグリットはアントワネットを、殺したいと思うほどに恨んでいた筈だけれど。
けれど実際にアントワネットに会った時、ちゃんと彼女の “本質” を見る。
彼女が王妃としてフランスに君臨し、国民達を苦しめていた、そのこととは別に
女性としてフェルゼンを愛する、母親として子ども達を愛する彼女を見る。
そうして、革命の歪みに気づく。 正しかった筈のそれが、間違っていることに。

王妃は 「悪」 で、自分達は 「被害者」 、だから、何をしてもいい。
何を言ってもいい。 どんな暴言を吐いてもいい。 殴っても、殺してもいい。
子どもを取り上げろ。 死刑にしろ。 殺せ。 殺す理由を作れ。
それが、その罪が、真実かどうかなんて関係無い。 「悪」 には何をしてもいい。

あまりの気色悪さに吐き気がするほど、それは間違ってる。 絶対に歪んでる。
だれも気づかないけど。 気づこうともしないけど。 気づきたがらないけれど。
マルグリットは、それに気づく。 独りで、その、歪んだ流れに逆らう。
アントワネットを陥れるために偽証をするよう迫られても、最後まで拒絶する。
そして処刑場で、倒れたアントワネットに手を差し出す。 助け起こす。


マルグリットはアントワネットを恨んでいるのに。 許していない筈なのに。

国民達は王妃を恨み、 「罰」 の名の下に、彼女に不当な暴力をふるいたがり、
けれどマルグリットはそれをしない。 正当な暴力なんて無いと彼女は知っている。


そういうマルグリットは、清廉とは違うけど、でも聡明で、強くて、美しい。


―― でも、これはあくまで私の、 「THE END」 の後の予想に過ぎないのだけれど、

マルグリットはあの後、たぶん、きっと、殺されてしまうんだと思う。

だって処刑場へ向かう彼女に、アニエスは言っていた。 王妃に同情してはならず、と。
王妃に同情を示した者は断頭台へ送られると。 今はそういう “流れ” なのだと。
現にアニエスも一度、殺されかかった。 革命に神の罰が下ると呟いた、それだけで。
マルグリットは公衆の面前で王妃に手を差し出した。 「ありがとう」 と王妃は囁いた。


マルグリットのような生き方は綺麗だけど、長生きはしないと思うんだよね(笑)


マルグリットは王妃を憎んでいる。 国民の苦しみは、王妃のせいだと思っている。
けれど王妃の、ひとりの人間としての苦しみや悲しみも理解している。
王妃を 「悪」 と見なし、そこに総てをぶつけることは間違いだと思っている。
……でもそーゆー複雑な考え方って、理解されないもんだと思うんだ。 私は。

だって、解り辛いからね。 面倒臭いし。 悪は悪、とするのが結局一番楽だもの。
各々の事情なんかいちいち汲んでいたらば、ぶつける先が無くなってしまうし。
どこかを、誰かを 「悪」 にして、そこに総て背負わせれば皆丸く納まるのだから。
誰だって自分が 「被害者」 でいたいし、苦しいのも可哀想なのも自分だし、
不満な気持ちを 「加害者」 に 「正当な権利として」 ぶつけてスッキリしたい。


そういう “大きな流れ” にとって、マルグリットは邪魔な存在でしかない。

イジメの構図と、ひどく似ている気がする。 みんなであの子をいじめようよ。
あなたは一緒にいじめないの? じゃあ、あの子と一緒に、あなたも死ねば?

……ってな感じに、マルグリットも処刑されちゃうような気がするんだよね。 私は。


そしてきっと、昨日まで仲間だった筈の市民達は、マルグリットの死骸を前に
「馬鹿な娘だね」って哂うんだろうな。 流れに逆らうなんて愚かなことだ、と。
実際、それも一理有るんだけども。 アニエスが殺されかかった時が正にそうだったし。
言わなくていい一言で、しなくていい行動で、命を捨てるのはある意味、愚かで。
そこに信念が有ろうとも。 誇りよりも命が大事なら他に追随すべし、ってところか。
イジメられたくなければイジメる方に混じるのが賢い生き方なのは、現代だって同じ。

賢い生き方が出来ないひとを 「愚か」 と呼ぶなら、彼女は確かに愚かなんだろう。




ところで私が唯一泣かされたのは、ルイ16世@石川禅氏のソロでしたが。
囚われの身の上で、子ども達に歌うの。 もしも私が鍛冶屋だったら、って。

もしも私が鍛冶屋だったら、おまえたちに好きなものを作ってやれるのに。
ほんとうは鍛冶屋に生まれたかった。 名も無いひとりの男に生まれたかった。

彼に同情しうる要素が有るならそれは、国王に生まれてしまったこと、だと思う。
そして、彼に罪が有るとしたら、分不相応な生まれそのものが、罪な気がする。
きっと生まれを間違っていた。 だから、間違いは排除される。 運命によって。
ささやかな願いすらずっと口に出せなかったんだろう彼が可哀想だった。
王になりたい者は多く、でもたまたま、なりたくなかった者が即位した末の悲劇。




それにしてもどうして皆、 「絶対悪」 を作るのが好きなんだろうな、と思う。

世の中には100%の悪人なんていないし、100%の悪意だって存在しない。
「出来事」 の当事者が絶対の 「加害者」 と 「被害者」 に分かれることも無い筈で
けれど誰もが総てを善と悪とに分けて、皆で団結して悪を糾弾することを好む。
悪をとことん叩きのめし、善を美化して讃え合う。 ……次の悪が見つかるまで。

『オクラホマ!』 の白々しい大団円にも、ちょっとだけ通ずるものを感じる(笑)




私の耳がおかしいのかな。 褒め称える声が、盛り上がる賞賛の嵐が、
ときどき、挽歌にしか聞こえなくなる。 ―― 私には、一緒には、歌えない。




スポンサーサイト
【2006/12/23 02:13】 | ヅカ以外の観劇日記。 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
<<中継1幕終了。 | ホーム | しあわせな彼女。>>
コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2006/12/23 10:09】 | #[ 編集] | page top↑

>Yさん。

こんばんは。 コメントありがとうございました。
……相変わらず女泣かせで申し訳無い(誤解を招く表現)(爆)

白状すると。 この記事、少しの毒電波を流してしまいました。
うっかり受信された方には痛かったかもしれません…。
私もこの作品を観劇した頃がいちばん、色んなことにぐるぐる迷って
たくさんの想いを押し込めていたので。 その影響も有るのかも、ですが。
…なんって、私もこんな、ワケ解らんレスで。 ごめんなさいです。

でも、本当のところ、色々な想いを込めて書いた記事です。
読んで何かしら感じてくださる方がいたら…と密かに思ってたので
コメント戴けて嬉しかったです。 本当にありがとうございました。

……私はきっと一生、文章を書くことは止められない気が致します(笑)


【2006/12/23 23:15】 URL | トマ #-[ 編集] | page top↑
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2006/12/24 02:54】 | #[ 編集] | page top↑

>Mさん。

こんばんは。 コメント、及び直メ、ありがとうございました。

Mさんの見解はとっても深くて、そして、凄く調べてらして
すごく勉強になると同時に私もまた色々考えさせられております。
今回のショーは本当の本当に、奥が深い。 深すぎる!(笑)
一度考え始めると止まらなくなります。 是、正しく熱病の如し。

けれどオギーがこんなにもこんなにも考えて、拘りぬいて
そんなショーを作ってくれたこと、心の底から嬉しくて感謝です。

私もMさんに触発されて(笑)また色々と考えまくっていますが
もう少しまとめられたらここかどこかでご披露したいなと思ってます。
その時にはメールのお返事もさせて頂きたいなと思ってますので
ゆっくりお話できたら良いですね♪ 本当にありがとうございました。


【2006/12/27 00:44】 URL | トマ #-[ 編集] | page top↑
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://toma723kanon.blog50.fc2.com/tb.php/85-bf9f6f8b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。